珍日本風土記

『珍スポット』を求めて、日本全国を駆け巡っています。

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築70年の古宿 東山温泉 高橋館【福島県 会津若松市】

■ 東山温泉 高橋館 @福島県会津若松市


会津の奥座敷と言われる東山温泉。

会津若松市街地からほど近く。湯川の両岸の切り立った崖の上に、個性豊かな温泉宿が立ち並ぶ。川のせせらぎと共に温泉に浸かり、ゆったりとした時の流れに身を置くことができる。

その中に、ひときわ異彩を放つ、築70年の古宿『高橋館』があります。

それではご案内いたしましょう。



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会津若松市街地から程近いところに東山温泉はある。会津若松の駅からだと車で15分くらい、鶴ヶ城近辺からであれば10分かからないだろう。


会津若松の奥座敷として歴史も非常に深く、開湯は8世紀後半頃だという。現在の東山温泉の温泉街としての特徴は、温泉宿によって栄枯盛衰が非常にはっきりしているところである。消費者のニーズに合わせて内外装をお洒落にして丁寧なもてなしを提供する宿、いかにも格式が高くて高級そうな宿、足湯や川床をつくって個性を出す宿などがある一方で、今にも倒産しそうな佇まいの宿、すでに廃業して廃墟化している宿も存在する。

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その中で、温泉街のちょうど中心の位置にある『高橋館』はひときわ異彩を放つ古宿であり、東山温泉最古の宿といわれている。数ある温泉宿の中で、私は敢えてここを選び宿泊することにしたのだ。

旅館に到着し、駐車場の場所を聞くと宿の真ん前に停めてよいとのこと。事前の情報だと「駐車場:10台OK」とあったのだが、これでは1台停めれば満車である。他に駐車場があるのだろうか。

荷物を持って館内に入ると、今にも倒れそうな80歳くらいの老人が出迎えてくれた。この方をメインに、親族のもうお一方がたまに交代で切り盛りしているらしい。といっても食事の提供はなく、部屋とトイレと風呂の場所を案内して、布団を敷くくらいのこと。館内はおせじにも清潔で衛生的とは言えず、カビ臭・ほこり・くもの巣・虫(の死骸)なども目立つ。そもそもこのじいさん一人では掃除をするにも全てに手が行き届かないのだろう。

最初に部屋・トイレ・風呂の位置を一通り案内されるわけだが、館内はまるで迷路のようなつくりである。一度案内されただけでは、とてもじゃないが場所を覚えられない。階段や段差が多く、今は使われていない通路や部屋もたくさんあるために、とにかく複雑極まりない。しかし、この複雑なつくりこそが宿の歴史の古さを証明している。現代だと消防法とかバリアフリーなんかがうるさく、存在し得ない館内構造だからだ。

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通された部屋がこちらである。湯川の流れを下に臨む角部屋である。湯川のせせらぎ(厳密に言うと轟音)が聞こえ、嫌でも日常の喧騒を忘れさせてくれるが、川の轟音という別の意味での喧騒がある。私には心地よい音だったが、気になる人には気になるのだろう。この日は私のほかに女性客がもう一人。女性客の入浴終わりを待って、私も風呂へ向かうことにする。

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高橋館の一番の売りはズバリ「岩風呂」である。

東山温泉は湯川の両岸の切り立った崖の上に温泉が立ち並んでいるが、高橋館の岩風呂は崖を掘って洞窟のようなものをつくり、そこに源泉を通してつくったものだそうだ。完成は昭和12年頃で、すべて手作業でやったというのだから驚きである。今回利用させてもらった岩風呂のほか、もうワンサイズ大きな浴場があるそうなのだが、東日本大震災の影響で温泉の出が悪くなり、通常の1/3程度しか出ないようで、大浴場は利用を停止しているらしい。

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浴場へと通じる通路。階段を下りていくにつれ、川の流れと目線が同じになるのが分かる。

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浴場入口。震災の影響で、源泉の温度も低下しているようで、ボイラーにより加温されている。

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ごつごつとした岩をくり抜いた洞窟の中の浴場。無色透明で若干とろみのある温泉。周囲を岩に囲まれているために景観は楽しめないが、川の音が外から聞こえてくる。電球の明かりひとつを頼りに、洞窟の中で一人ひっそりと温泉を楽しむという怪しさ。これ以上の「隠れ家」が何処にあるというのか。

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浴場から自室へと通じる通路。かつてここがスキー客の温泉宿として繁盛していたことがわかる。

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こちらは今は使われていないトイレ。臭い消しのためか便器にはカラーボールが置かれていたが、このエリアの異臭と便器のきばみは常軌を逸するレベルである。しかし自室に向かうにはここを通らなければならないのだ。かなり開放的で広々とした便所。ここもスキー客用だったのだろうか。

部屋に戻ると布団が敷かれていて、開けっ放しだった窓が網戸になっていた。このあたりの心遣いはありがたい。

晩飯を買いに外に出ようとしたところで、ついでに会計を済ませておく。楽天トラベルで予約して行ったのだが、案の定というかなんというか現金決済のみ。私の明日の朝の出発が早いこともあって、事前に支払っておくことになったのだ。ちなみに料金は1泊素泊まりで4000円。一般的なビジネスホテル並みのごく標準的な値段である。『今夜は雨予報ですけど、もし雨漏りしたら500円割引しますから・・・』というまさかの割引特典までついている。(実際には雨漏りせず)

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会計ついでに旅館エントランス部分を見学。年季の入った小物があちこちに置かれている。そして看板猫も登場。床に寝そべって背中をスリスリ・・・。

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ここは昭和を感じさせる品々に囲まれたおじいさんの書斎的なところ。左側のソファがおじいさんの定位置のようだ。



会計を終えると宿の歴史についていろいろ話をうかがった。その流れで、昭和12年の旅館建設当時の写真を見せていただくことができた。

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『あなたの部屋がこの辺で、風呂はこの辺りで・・・』

力なく柔らかい口調で語られるおじいさんの言葉からは、この宿と共に人生を歩んでこられた歴史が見え隠れする。築70年というから、旅館建設当時はこのおじいさんもまだ少年の頃だ。様々な思い出と記憶を積み重ねながら、旅館と共に歳月を重ねてきたのだろう。

時代が移ろい、生活様式や価値観が変化する中で、歴史と伝統を守りながら新しい時代に適応できるように変革をする。変革の積み重ねが新たな歴史・伝統となり、その時代の利用者に支持され続けるのだ。

時代に合わせて支持されるように、たゆまぬ努力をされている宿を否定はしないが、時代の変化に対応しきれず、客足が遠のいてしまったこの宿が果たして価値がないのかと言われればそうではない。もはや利益云々ではなく、旅館への愛着がおじいさんを動かしているのだろう。多くのお客さんとの出会いがあり、人生すべてが染み付いたこの宿を手放すことなど、きっとできないのではないだろうか。

言葉少なく力ないその人の背中からは、旅館が賑わいを見せ隆盛を築いた一時代の記憶の夢跡を追い続け、自分が死ぬのが先か旅館がつぶれるのが先か見届けてやろうとする凛とした覚悟と、内なる静かな意地とこだわりが見えるような気がした。


晩飯を済ませ、就寝の支度を済ませて寝床に入ると、湯川のせせらぎが心地よかった。自然と歴史に抱かれて眠るというのもまた格別である。


不便で不衛生な空間を許せるかどうか。川の音をうるさいと思うか心地良いと思うか。実際に宿に泊まってみて、確かめていただきたい。



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ここまで、福島県会津若松市よりお伝えしました。




<2012.6.10 訪問>


-----物件情報-------

■ 東山温泉 高橋館

住所:福島県会津若松市東山町湯本居平125

アクセス:常磐道 会津若松ICより車で20分、会津若松駅より車で10分強

料金:1泊 4000円(素泊まり)※楽天トラベル利用

HP:なし

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個性溢れるカッパ達とその他もろもろがやりたい放題!! 『工芸の里 かっぱ村』 【福島県田村市】

■ 工芸の里 かっぱ村 @福島県田村市


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記念すべき一発目の物件は福島県田村市にある


『工芸の里 かっぱ村』

です。


こちらの物件は、6月初旬の『常磐・磐越 高速乗り放題の旅』の途中で訪問しました。

ただ、初めにお断りしておくと、旅を終えた直後の嵐の夜の悪夢のためにかっぱ村の画像は6~7割がた失われてしまいました・・・。そのため、伝えきれない部分も多々あるかと思いますが、どうぞご了承下さい。

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田村市船引のいたって普通の山村風景の中を走っていると、突如としてかっぱの皆様のパラダイスが出現します。


この物件ですが、お隣には「開宝花の湯」という温泉施設があり、その敷地の一角を借りる形でやられているそうです。市内に「下里工芸」という工芸関係の会社があり、そこの社長(?)さんが定年退職後の楽しみとしてひたすらかっぱを創り続けたらこうなりましたとのことです。実はその背景にはなかなか切実な裏話があるのですが、それはとりあえず置いといて、パラダイスに入場してみましょう。

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入場ゲートの下では、早速コンパニオン的かっぱが「よぉー」という感じで馴れ馴れしく迎えてくれます。

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そして、いきなり何の統一感もないオーケストラ部隊が人間を大歓迎してくれます。

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中には、もはや何の楽器を演奏しているのか分からず、腕や胸元に大怪我を負っている者もいます。相当な重症のはずですが、気力だけでオーケストラに加わる様は、カッパ同士の「絆」を垣間見るようです。

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そして最上段のメインステージではかっぱたちを差し置いて、ワニやウサギがフラダンスを披露。黒子に徹するかっぱたちには頭が下がるばかりです。

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演奏者がかっぱなら、観客もかっぱです。何故か小枝を握り締めて、「何やっとんじゃコイツらは?」的な奇異な眼差しを向ける者、そばをズーズーすすっている者、寝転がっていい感じて鑑賞していたら、いつのまにか足からコケが生えてきた者、目を見開いてマジマジと見ている者などいろいろな楽しみ方があるようです。


そして、カッパ以外にもどこかで見たような様々なキャラクターが住みついていました。

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振り返る地蔵

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四肢のひ弱な国民的ヒーロー

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ニワトリの小屋をものすごいけんまくで守っている般若

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あの有名なネズミ


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こちらは何かを盗もうとしている凶悪ネズミ

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毛虫のついた赤ん坊を股に挟んで腹筋しているお母さん




そんな感じで見学していると、赤いジャンパーのおじいさんが軽トラに乗って登場。おもむろに作業を始めました。どうやらこの方がかっぱ村建国の方のようです。

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新たな作品づくりに取り掛かられているようなので、見学させてもらいました。そこらへんの山から木を拾ってきて、くり抜きながら作業を進めていくそうです。

おじいさんと話をすると、どうやらかっぱはそろそろ飽きたらしく、

「これからは、ひょっとこを100体つくりたい。これから4体目だ。」

「この穴からひょっとこの顔を出して、ここにも一人乗せて・・・」

という感じでおじいさんの志向はかっぱからひょっとこへとシフトしているようです。

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確かに周りを見渡すとひょっとこ的な作品ばかり。

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中には出来上がったおやじや所ジョージもいますが・・・。



かっぱ村の出来たいきさつについて、詳しく話を伺うことができました。

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下里工芸という会社を市内でやってこられ、定年後の趣味として始められたそうです。

当初は仲間5人で工芸品や骨董品を作って販売するような「工芸の里」をつくり、お客さんに来てもらってまちを盛り上げていこうというビジョンがあったそうです。実際に施設内には工芸品の展示・販売の拠点とされる予定だった建物が残されていました。

しかし、思うようにうまくいかず、集まった仲間も一人また一人と去っていき、自分だけが取り残されてしまったそうです。それでも一人で黙々と作品づくりを続け、気がついたらこうなっていたという感じでした。きっとそこには、おじいさんなりの意地やプライドもあったのだと思います。手を引いた仲間を見返してやりたいといった思いもあったのではないでしょうか。黙々と作業をされている背中から、譲れないこだわりのようなものが伝わってきました。

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ここまで、福島県田村市よりお伝えしました。


<2012.6.10 訪問>


-----物件情報-------

■ 工芸の里 かっぱ村

住所:福島県田村市船引町大字船引字沼田65-16(花の湯敷地内)

アクセス:常磐道 船引三春ICから車で20分

料金:無料

HP:なし








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